SPECIAL TALK-2
キャリア対談
人が歩み続けるための原動力となる「成長」。
そのためには理想のキャリアを描き、実現していくことが欠かせません。
そんなキャリア形成に対する考えを、現場のグループリーダー、
そして本部の人事担当者の目線から紐解いていきます。
- 技術開発本部
- 杉浦
- 人財総務部
- 田邉
- Session1
- 個人の可能性を開花させる基盤づくり
- 杉浦
- 私は技術開発本部に所属し、開発グループを統括するリーダーとしてグループの運営に努めています。中でも一番の役割は、メンバーのキャリアを伸ばしていくことです。一人ひとりの成長を促進させる開発環境の整備や、最適な人員の配置に注力しています。田邉さんは、人財総務部でどのようなお仕事をされているのですか?
- 田邉
- 人財総務部は、社内でも比較的少人数の部署です。そのため、社内教育や研修制度の決定といった人事に関する業務から、給与計算や労務まで、部署全員で協力し合いながら仕事を行っています。杉浦さんのように、プロジェクトを進行させながら現場で人を育てるというのはとても大変かと思いますが、実際にはどうですか?
- 杉浦
- そうですね、グループリーダーとしての難しさは日々感じています。特に、開発の中には多くの役割がありますから、誰にどの役割を担ってもらうかといった部分は、いつも慎重に検討を重ねていますね。3年後、5年後、そして10年後、メンバーにどう成長していてほしいか。そのための最適な配置はどこなのか。メンバーとじっくり向き合いながら、各々の能力をより伸ばせる役割や配置を心がけています。
- 田邉
- なるほど。日々の業務の中で一人ひとりを見つめ、その能力や適性を考えられているのですね。また、杉浦さんの現場には、エンジニアの方が多くいらっしゃると思いますが、エンジニアとして成長していくために必要なことは何でしょうか?
- 杉浦
- まず、エンジニアとして最も大切なのは、やはり技術力や開発力を身につけることだと思っています。そうした意味で、技術の伝承をどのように行っていくかが、人財育成、さらには開発の効率化をも左右すると考えています。
- 田邉
- そうなんですね。しかし、その時々の開発状況によって技術は多岐にわたるでしょうし、それを若手に伝えていくとなると、とても長い時間がかかるかと思います。その辺りは具体的にどのようにされているのですか?
- 杉浦
- 技術やノウハウを若手に伝える上で、二つのフェーズがあると考えています。まず一段目は、基礎を築くことです。エンジニアとして成長するために、持っておくべきベースとなる部分。これは入社後、先輩から細かく教わる必要があります。また、それを教える先輩側も若手社員であるとなお良いですね。先輩から教わったものを自分の知識として定着させながら、さらにそれを次の世代に繋いでいけるような仕組みづくりは、日々意識するようにしています。
- 田邉
- それはいいですね! 教わったことを今度は他人に教えることで、お互いに理解が深まるのではないでしょうか。
- 杉浦
- それも狙いの一つですね。一方で、二段目の基礎を踏まえた応用的な技術は、教えることがなかなか難しい分野です。世の中に未だないものを生み出していく技術になるので、創意工夫や新しい考え方が必要になってきます。こうした高度な技術は、築いてきたベースをもとに、先輩の技術を盗んだり、周りから情報収集をしたりと、自分の力で切り拓いていくしかありません。そのためにも、一人ひとりが成長を意識できるような、また、次々と新しいことに挑戦できるような環境を提供できればと考えています。
- 田邉
- ある程度の知識が備わった後は、個人の努力が欠かせないということですね。また、成長できる環境づくりという点については、私たちの担当でもあります。例えば、新入社員研修や、3年目や5年目といった節目の研修、さらにはマネージャーなど役職に就任した際の研修で、個人のキャリアアップをサポートできればと考えています。
- 杉浦
- 私も活用させてもらっています。田邉さんたちは会社全体の組織として社員を教育する立場にあると思いますが、その中で意識していることなどありますか?
- 田邉
- そうですね……。各個人にとって、最適なタイミングで研修を受けてもらえるように制度を整えることでしょうか。研修を受けたいと思った時に、すぐ受けられるようなサポート体制を意識しています。また、昔であれば講師の方の話を一方的にインプットするような研修が多かったように思いますが、それだけではなく、アウトプットを重視していきたいと考えています。研修でアウトプットの方法を身につけ、現場においても自分の意見を発信できる人間へと成長していってもらえれば嬉しいです。
- Session2
- 「なりたい自分」を見据えたプランを
- 田邉
- 新入社員として入社してからは、エンジニアとしてどのようにキャリアを積むことができるのでしょうか?
- 杉浦
- そうですね、入社直後は様々なことを覚えてもらう時期と捉えています。最初は実機を触ってもらったり、評価や実験のやり方から指導し、実験後のデータのまとめ方などを身につけてもらいます。その後、具体的な設計の基礎を学び、2〜3年かけて一通りのことを学んだら、いよいよ実践として製品の一部の開発を担当してもらう、といった流れです。製品開発をするためには幅広い知識が必要になりますから、その土台となる基礎は、焦らずしっかりと学んでほしいと考えています。ただ、今お伝えしているのは基本で、実際は成長の度合いに合わせながら、実務を通して学びキャリアを積んでいくことが多いです。
- 田邉
- 充実した教育体制ですね。ちなみに、基礎を身につけたその後のキャリアは、自分自身の意志をもって、どういった道に進むのかを選択していくのでしょうか?
- 杉浦
- もちろん本人の希望は、確認しますが、私たちが適性を見て、本人と相談しながら一緒にキャリアを決めるケースが多いかもしれません。結果的に、それぞれの得意な分野や適性は、本人の希望と合致していることも多いですね。
- 田邉
- 自分で進むべき道を見極めることも大切ですが、日頃から上司に見ていてもらえると思うと、若手社員は安心して仕事に励むことができますね。そうした若手の能力を把握する上で、何か心がけていることはありますか?
- 杉浦
- 一番は、積極的にコミュニケーションを取ることですね。彼らの仕事ぶりを見るだけではなく、「何か壁にぶつかっていることはないか」「一人で悩んでいることはないか」など話しかけるように心がけています。そうした中で、プログラムを組むのが得意であったり、細かいものづくりが得意であったり、あるいはもっと大きなスケールで物事を考えることが得意であったり、個人の得意なことが見えてきます。だからこそ、入社後3年目くらいまでは幅広く様々な仕事を経験してもらい、何が得意であるかを見極めていく期間にしてもらいたいと考えています。私も田邉さんにお聞きしたいのですが、こうして現場でキャリアの方向を定めていく一方で、会社全体としてのキャリアプランはどのようにお考えでしょうか?
- 田邉
- 会社全体としては、基本的に杉浦さんたちのように現場で決めた方針に対し、それをアシストできればと考えています。まずは、先輩をロールモデルにしたり、各上司と面談しながら、「こうなりたい」という個人の目標を定めてもらい、それを踏まえて必要な勉強や研修を私たちがサポートしていきます。また、組織である以上「会社の方針」というものがありますので、そことの擦り合わせも含め、年に1度「キャリアプランシート」の作成をお願いしています。その中で自分が今どの位置にいるのかを確認しながら、目標を明確にし、次のステップアップのために何が必要で、どう行動していくべきか軌道修正をしてもらえたらと思います。マネージャーを目指すなら、まずはトレーナーとして部下を教育してみようとか、技術に特化したスペシャリストになるために、この研修を受けてみようとか。キャリアを積むための判断材料にしてほしいと考えています。
- 杉浦
- 私たち現場からしても、キャリアプランシートの存在は重要です。特に、当社で定められている職能等級ごとに、何が求められているのかを知り、今後の働き方を考えることは、自分を見つめ直すきっかけにもなりますから。まずは自己理解を深め、次に周りを理解できるようになる。そして、最終的に周りを導くリーダーへと成長していく。こうして自らの範囲を広げていってもらえるよう、私たちもフォローに努めていきたいと考えています。
- Session3
- あくなき探究心が、成長を加速させる
- 田邉
- 職能等級別のキャリアプランが充実している一方で、不足しているのが職種別のキャリアプランです。例えば、「現在はエンジニアとして技術部にいるけれど、いずれはマーケティングに挑戦してみたい」と考えた時、じゃあマーケティング部に異動するためにはどんな知識が必要で、何を勉強したらいいのだろう、というのが現状ではわかりづらいと思うのです。もし職種別のキャリアプランがあれば、今よりもっと幅広くキャリアを選択できますし、自分では気付かなかった可能性を拓けるかもしれません。そのためにも職種別のキャリアプランがあればいいなと考えています。
- 杉浦
- なるほど、本当にそうですね。実際に現場でも、「他のグループや他部署に興味がある」といった相談を受けることもあります。そうした時、どうしても自分の知識や経験をもとにした話になってしまうので、最善のアドバイスではないかもしれません。各部署の詳細な業務内容や必要なスキルがわかると、私たちとしても相談に乗りやすくなりますし、納得のいく答えが見つけられるかと思います。また、他部署や他職種を理解することは、業務においても良い影響を与えてくれるのではないでしょうか。お互いに理解が深まれば、革新的なアイデアが生まれるかもしれません。グループや部署という垣根を越えて、さらに交流ができるようになるといいですね。
- 田邉
- そうですね。他部署との交流や、部署を越えた人財の配置換えについては、実際に興味をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、現実的には目の前に開発しなければならない製品があると、そちらを優先せざるを得ないのだと思います。そうした仕事の状況を考慮しつつも、タイミングを上手くあわせて交流を活発化させることができれば、今後のキャリア形成をより良いものにしてくれるのではないかと考えています。
- 杉浦
- 本当にそうですね。現場で指導する立場として時期を見計らいつつ、そういった要望を積極的に受け入れられる体制を、少しずつでもつくり上げていければと思います。これまで、横河計測における一連のキャリア形成について話をしてきましたが、田邉さんは今後どんな方に入社してもらいたいと考えていますか?
- 田邉
- そうですね、明るく元気に挨拶できる方や、わからないことはわからないとしっかり伝えられる方だといいですね。素直な気持ちで何でも質問してほしいですし、それが仕事におけるコミュニケーションなのだと思います。また、新しいことにも積極的に挑戦してもらえたら嬉しいですね。横河計測は真面目な方が多いと感じていますから、そうした殻を打ち破ってくれるような少し大胆な方でもいいのかもしれません。杉浦さんは、どんな方に入社してもらいたいと考えていますか?
- 杉浦
- まず、私たちがベースにしている電気・エネルギーの分野に対して、興味を持って情報収集を続けられる方は常に求めていますね。昨今叫ばれているカーボンニュートラルの実現に向けて、今後ますます電気エネルギーへの注目は高まっていくはずです。また増え続けるデータ通信に伴い、光通信技術も今後ますます重要になってきます。そうした意味でも、広く深く興味を持ってもらいたいと思います。また、興味や情熱といった部分は、ものづくりの原動力になるものだと考えていますから、どんな方にも持っていてほしいマインドです。
- 田邉
- なるほど。たしかに目の前の仕事に興味を持つのと持たないのでは、吸収できる知識の量に雲泥の差がありますよね。すると、やはり大切になってくるのは、どんな職種においても前向きな姿勢で取り組むことではないでしょうか。ぜひ新入社員の方には、失敗を恐れず挑戦し続けてほしいですね。成功すればそのまま自分の糧にしてもらえばいいですし、失敗したとしても「次はこうしよう」という改善や、目標を立てられるような人に成長してもらえたらと思います。
- 杉浦
- そうですね。どんなキャリアを描くにしても、「常に成長していくんだ」という気持ちを忘れずに持っていてほしいです。自ら変化を起こしていければ、自分はもちろん、周りにも良い影響を及ぼしていきますから、組織全体の成長にも繋がっていくと考えています。受け身で組織が変わるのを待つのではなく、新しい風を次々と吹かせられるような、そんな人間へ、私も含め成長していけたらと思っています。