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SPECIAL TALK-1

プロジェクト座談会

測定業務を効率アップする数々の機能と使いやすさを薄型&軽量ボディーに搭載した、
横河計測が誇る人気製品「オシロスコープ DLMシリーズ」。
今回、その最新モデル「DLM5000」の開発に携わった社員により、座談会を実施!
開発における大切なことや苦労話など、ここでしか聞けないトークをご覧ください。

Project Member

  • プロジェクトリーダー
    遠藤
  • マーケティング担当
    柳生
  • 営業担当
    高橋
  • 開発担当
    飯田
  • 開発担当
    吉原
  • 開発担当
    川田
  • 開発担当
    南原
Session1
期待と理想に応える、責任感

遠藤
本案件は、前モデルであるミックスドシグナルオシロスコープDLM3000・DLM4000の経験を踏まえ、新たにDLM5000を開発するという、当社社内でも比較的大規模なプロジェクトでした。マーケティングを担当された柳生さんは、今振り返ってどのような印象を抱かれていますか?
柳生
DLM3000は、その画期的な操作性や機能性を評して、業界内でも多くの支持を集めた製品でした。そのため、DLM5000には社内外から多くの期待を寄せられていましたし、横河グループとしてもオシロスコープにはポリシーを有しているので、ずっしりと責任を感じました。その点は、営業として活躍された高橋さんも同じだと思います。
高橋
そうですね。私自身は、開発がある程度終わりに近づいた発売間際のタイミングで、営業の推進役として参加させていただきました。DLM5000が開発中であるという情報は営業全体にも共有されていましたので「その担当になるんだ!という緊張感はありましたね。また、オシロスコープは、電気を扱う際の必需品として高い普及率をもつ製品です。そのため競合他社との競争も激しく、オリジナリティが求められる面もあります。だからこそ、DLM5000の販売促進にあたっては、機能面やアプリケーションに関する情報を事前に集めて、戦略を練ることを大切にしました。プロジェクトリーダーとして関わられた遠藤さんにとっては、どんな案件だったんですか?
遠藤
DLM3000の開発時にプロジェクトリーダーを担当した経験を踏まえ、今回のDLM5000の開発時にも、同じくプロジェクトリーダーを任せていただきました。柳生さんが言われた通り、本案件には社内外から多くの期待が寄せられていました。また、規模も大きいので常時20名程度のメンバーが付いて作業をおこないます。そのため、私が担うべき大切な役割の一つは「人をまとめること」でした。
高橋
進行管理やスケジュールの調整ではなく「人をまとめること」ですか。それは少し意外です。
遠藤
もちろん、進行管理やスケジュール管理も同時並行でおこなっているのですが、本案件ほどの大きなプロジェクトになると、製造や営業、マーケティング、品質保証など、様々な部署に所属する方々と連携しなければなりません。その意味で、折衝や調整が重要になってくるんです。
柳生
なるほど。確かに、現場の進行に関してはプロジェクト内にある各チームのリーダーに任せることができますもんね。
遠藤
その通りなんです。本案件では、全チームに優秀なリーダーがいたので、非常に助かりました。ほとんど任せっきりだったように思います(笑)一方で、その前段階となる仕様の検討や機能の策定に関しては、私や柳生さんを含むマーケティング部と技術部が連携し、しっかりとコミットして決めていきました。
柳生
そうでしたね。私たちマーケティング側の仕事は、いわば「お客さまの要求を、できるだけ製品へとうまく変換していくこと」です。だからこそ、私たちマーケティング部がお客さまのご要望をうまく吸いあげ、技術部の方々と共にその実現性を検討することが重要になってきます。
高橋
技術側として「それは難しいかもしれない」という話も、当然出てきますよね。そういった際は、どのようにクリアするんですか?
遠藤
「それは難しいですが、これならどうですか?」という代案を出します。そこで、マーケティング部の方々から「その発想なら、こんな形で実現できないでしょうか?」といったやり取りを重ねて、徐々に着地点を見つけていきます。
柳生
だから、最初で決まってGOするのではなく、ディスカッションを重ねながら一歩ずつ、といった具合ですよね。試作品を作成後、もう一回見直そうということもありました。
高橋
すごいですね。そこまで検討を重ねているとは思いませんでした。営業部としても、お客さまのご要望を直接伺う大切な役割として、技術部やマーケティング部の皆さんと連携しながら、活動を続けています。
Session2
若手だからこそ得られた、経験値

遠藤
今日は、プロジェクトに参加した若手社員の皆さんにも集まってもらっています。川田さんは、ファームウェア担当のチームにアサインされていましたよね?
川田
はい。私自身は、チームの中でも特にファームによるデータ解析を中心に担当していました。作業の性質上、開発中は飯田さんをはじめディジタルチームの方々と密にコミュニケーションをとったことを覚えています。
飯田
そうですね。私の担当は、オシロスコープがおこなう「入力したアナログ情報をディジタル処理して、さらにそれをファームウェアで処理する」というプロセスにおける、ディジタル信号の処理部分の設計でした。そのため、川田さんが担当するデータ解析は私の担当する領域と近しい箇所でしたので、よく話しあった記憶があります。
川田
印象的だったのは、やはり納期です。社内的な事情もあり「ここまでにはリリースしたい」というスケジュールが決められていましたので、何とかそこに間に合わすことができて良かったです。
飯田
私たちのチームでも、納期に対しては常に課題感をもって取り組んでいました。苦しい時の支えになったのは、やはりともに働く仲間の存在です。先ほどの遠藤さんのお話にもあった通り、チームリーダーの方々がとても優秀だったので、心強い先輩方に支えられてなんとか乗りこえることができました。
川田
同感です。繁忙期にはどうしても人手が足りなくなる不安に襲われるのですが、チームリーダーをはじめプロジェクトリーダーの遠藤さんなど会社全体でサポートをしてくださったので、乗りこえることができました。特に、部署を横断した横のつながりによる協力体制が構築できたことで、本当に助けられました。南原さんは、基板や製品評価を担当されていましたよね?
南原
そうです。2018年入社のため、ほぼ新人の立場で参加しました。回路作成用のCADソフトや部品登録の業者とのやり取りなど、初めてだらけで戸惑うことも多かったのですが、何とか期限内にやり切ることができたと思います。
柳生
メンタル面で苦労することはありましたか?
南原
ありました(笑)やっぱり不安な気持ちはありましたし、いつか失敗するんじゃないかとヒヤヒヤしていました。しかしながら、分からないことはすぐに先輩に聞いたり、自分で調べられることは調べたりと工夫をすることで、少しずつ慣れていくことができたように思います。
高橋
特にお世話になった方はいますか?
南原
アナログチームの服部さんです。ベテランの先輩であり、知識も豊富に持たれているので「服部さんに聞けば間違いない!」と思って、たくさん頼らせていただきました(笑) 吉原さんは、DLM3000にも関わられていたんですよね?
吉原
そうですね。DLM3000ではメインで担当していたのですが、今回のDLM5000ではサブ的なポジションで関わりました。
遠藤
携わったのは、AFE部(測定器の入力部)の設計が中心?
吉原
はい。入力されたアナログ信号をディジタル値に変換するADコンバータまで正確に伝えることが役割です。製品の性能を左右する重要な部分であり、数100 MHzという高周波かつ数100 Vという高電圧まで扱うため、慎重な設計が必要でした。
柳生
回路方式も、新規設計となったタイミングだったので大変だったのでは?
吉原
そうですね。先輩に勉強会を開いていただき、これまでの開発で得た技術を教えていただくなどして乗りこえました。教科書では得ることのできない知識を得て開発に臨めたのは大きかったと思います。
遠藤
やはり、人と人の連携によって乗り越えていったんですね。
Session3
コミュニケーションが、いい製品を生む
遠藤
本案件では、先ほどから出ています通り部署間や職種間の連携が重要だったと思います。柳生さんも、やはりその点は意識されましたか?
柳生
しましたね。特に、各部からの意見に耳を傾けることを大切にしました。例えば、高橋さんら営業部の方々との情報共有もその一つです。実現性の観点から言っても、お客さまの要求だけで製品をつくることはできません。一方で、技術的視点だけで製品をつくっても、そもそもお客さまに受け入れられないかもしれない。こうした狭間で迷ったときは、やはり日常的にお客さまと接し、ご意見やリクエストを受けている営業部の方々の意見を聞くことが重要になります。
高橋
確かに、営業部内でもこれまでに展開してきたDLMシリーズに寄せられているお客さまからの声を集め、定期的に意見をさせていただいていたと思います。
柳生
販売促進に際しては、高橋さんから私たちマーケティング部へ「拡販ツールの作成」に関する意見をいただきましたよね?
高橋
はい。ホームページに公開されているような動画とは別に、日常的な営業活動に使える「細かい機能をご紹介する動画」を何種類か作成していただきました。ありがたく、営業の方で活用させていただいております。
柳生
アイデア自体は元々あったのですが、なかなか実現していませんでした。そのため、このタイミングでチャレンジしました。活用いただけているなら何よりです。ここでもやはり、連携の力が功を奏しましたね。
遠藤
同感です。いい製品は、当たり前ですが技術部だけではつくれません。マーケティング部や営業部、製造部など多数の部署に所属する多くの方々との連携があってこそ、世の中に求められる製品ができるのだと思います。
柳生
その通りですね。今回、リモートという新しいコミュニケーションにもチャレンジしました。改めて、やはり製品が生まれる土台には、いつもコミュニケーションがあったのだと痛感しました。自分一人では何もできません。多くの部署や人が力を合わせるからこそ、うまくいくのだなと思います。
高橋
お陰様で、DLM5000の評判は上々です。タッチパネルの製品になっておりますので、若いエンジニアの方々からも好評ですし、一方で既存のノブや操作キーも残しているので、ベテランの方々からも好評です。
柳生
嬉しいです。これまでより使いやすい製品を継続的に提供できたという意味では、自負できるのかなと思います。私たちマーケティング部としても、今後はまだDLMシリーズを知らないお客さまへも届けられるように努力したいと思います。
遠藤
こうした成果が生まれたのも、やはり関わってくださった皆さんの力があってこそだと思います。私自身、今回のプロジェクトの感想は「最高のチームと仕事ができた」という一語に尽きます。30年ほどにわたって長らく開発に携わる中でも、ここまでベストな布陣で臨めた開発はなかったと思います。各チームには優秀なリーダーがいて、その下にはやる気のある若手がいてと、すごいバランスが良かった。この経験を糧に、さらに良い製品を生みだしていければと思います。