どうやって日本の製造業の強みを際立たせるかという段階になると、それには多額の設備投資や人材補強という経営に直接影響するような難しい施策の壁に直面し、有効な手が打てないのではないかと思います。シルバーブレット(狼男を1発で倒す銀の弾丸)やエリクサー(賢者の石)を探すようなものだとお考えの方も多いのではないでしょうか。
AIは、日本の製造業の強みを生かすように活用することで、このシルバーブレット、あるいはエリクサーに匹敵すると筆者は考えます。ただし単純にAIを導入するだけでは日本の製造業の強みは生かせず、海外と同じ土俵で戦い続けることになります。
本書では、日本の製造業の強みを生かし、かつ経営上も実行が可能な経営・現場・AIのプラスサムゲームを提案します。その中に含まれるAIという「1つの手段」は、海外のコンペティターを日本の製造業が抜き去るための決定的手段であるということ、そしてその本質を、日本の製造業に携わるすべての人に理解していただきたいと思います。